> > 特別連載:爽やかで素敵な看護師が語る訪問看護のオープン[第2話]

特別連載

爽やかで素敵な看護師が語る訪問看護のオープン

平成25年7月に東京都国分寺市で訪問看護ステーションを開業され、リハビリにも力を入れつつ、スタッフが爽やかに活き活きと活躍される体制を構築し、インキュベクスの訪問看護開業運営支援にも協力して下さっている、さわやか訪問看護リハビリステーション様の事例をご紹介します。管理者の八木亜希子様が詳しく語ってくださいました。

全4話:毎週金曜日更新


2015年10月30日

第2話:社長が支えたくれた初めての『看取り』

現在までの経緯について教えて下さい。

開業当初から現在に至るまで、本当に様々なことがありました。

開業してまもなくの営業時に、私が熱中症で倒れてしまったこともありました。
7月1日に開業し、夏の暑いさなか営業をしていましたが、まさか看護師である私自身が熱中症になるなんて考えもしませんでした。
開業当初の営業は、私も社長も他の看護師2名もみんなが総出でがんばっていました。他の看護師の頑張りを見ると、所長・管理者である私はもっと頑張らなければならないという気持ちになり、一人で水分も摂らずに回っていました。
その日は電車と徒歩での営業でしたが、袖に「ケアーズ」と入ったユニフォームを着ており、その姿で駅の自動販売機でお茶を買って飲んでしまったらイメージが悪くなるのではないかと思い、飲み物を口にできなかったのです。
「なんだか調子が悪い」そう気づいた時には、もうだいぶ熱中症は重いものになっていたようです。合流した社長に調子が悪いことを伝えた後、私は道路に座り込んでしまい立てなくなりました。そのあとのことはあまり覚えていません。
それ以降、もちろん熱中症には気をつけましたが、そうした初期の努力が実を結び、病院やケアマネージャーさんと良い関係を築くことができて、利用者さんの獲得につながりました。

そうした私たちの頑張りに、社長はちゃんと応えてくれて、スタッフと社長の信頼関係も常に高い状態にありました。
100件の訪問を達成した時に、社長は私たちスタッフを青山にある高級イタリアンレストランに招待してくれました。
この時の社長の意図は、私たちに最高のホスピタリティを体験してもらいたいというものでした。
高級料理店の中でも最高峰のホスピタリティを誇る一流店のサービスに私たちが直接触れることで、私たちも訪問看護の中で最高のホスピタリティを目指そうという社長の意図は私たちにもしっかりと伝わり、私たちはまた一丸となって次の目標を目指しました。

voice_photo_sawayaka02 「一周年を記念してステーション内で開いたパーティーの写真が貼られたボード」

社長と私たち3人の看護師が一緒に、最初の看取りを経験したことも、とても思い出深いことの1つです。
最初の頃に来る依頼は大半が難易度の高いもので、最初の看取りとなったケースも、ご自宅で奥様を看取ることを娘さんたちは納得しているものの、旦那様が受け入れられずにいるという難しい状況でした。
ある夕方の定時過ぎに、私たちはそのご自宅に吸引器の説明に行かなければならなくなりました。
誰か一人が訪問し、残りのスタッフが帰ってしまうのは心細いということで、看護師3人全員で向かうことになり、社長も私たちを車で送迎してくれることになりました。
ご自宅に到着すると、明らかに様子が変です。私たちの到着のタイミングで、奥様は亡くなっていました。
通常、ご自宅で看取る場合、救急車を呼んだり病院に連れて行くことはせず、亡くなる前後に医師に連絡し、ご自宅で死亡を確認して医師に死亡確認書を作成してもらいます。
しかし、奥様の死を受け入れられず、取り乱した旦那様は私たちに奥様の心臓マッサージを依頼しました。
私は形だけでも心臓マッサージをすることにしました。旦那様が納得するまで何時間でもずっとやり続ける覚悟で心臓マッサージを始めました。
実際には既に奥様は亡くなっているのですが、旦那様の中ではまだ生きており、私が心臓マッサージを止めた瞬間が奥様の死なのだと思ったからです。
私が心臓マッサージを続けている傍らで立ち尽くすご主人に社長が語りかけました。
実は社長は訪問看護開業の前年にお母様を亡くしていました。その時に本当は声をかけたかったのにできなかったこと、泣きたかったのに涙を流せなかったこと、その時の心境をご主人に語っていました。

社長の話を聞いていたご主人が、急に奥様の名前を叫びながら奥様に駆け寄りました。そして奥様の手を握り、泣き咽びながらもう一度奥様の名前を呼んで叫んだのです、「死ぬな!」と。
その後、嗚咽を無理に落ち着かせるようにしてご主人は「看護師さん、もういいです。ありがとう」と私に言いました。
ご主人は奥様の死を受け入れました。

この看取り以降も、社長は度々、看護師に同行してくれます。
この時、社長が一緒についてきてくれてとても頼もしかったですし、資格に関係なく、ステーションのみんなが一丸となって利用者さんに向き合えることを実感した瞬間でした。

次回は2015年11月6日公開予定


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