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ケアーズ訪問看護ステーション川崎多摩 マネージャー 内山智寛様

介護事業から参入し、序盤からリハビリスタッフを着実に増やしていった事例


株式会社ラクセム 訪問看護事業部マネージャー 内山智寛
右:株式会社ラクセム 代表取締役 吉川大我様、左:同訪問看護事業部マネージャー 内山智寛様

平成25年1月に神奈川県川崎市多摩区で訪問看護ステーションを開業された、株式会社ラクセム様/ケアーズ訪問看護リハビリステーション川崎多摩様の事例をご紹介します。訪問看護事業部のマネージャーを務める内山智寛様から主にお話を伺いました。
訪問看護参入前に展開されていたデイサービスとの相乗効果や、リハビリに力を入れた展開についてお聞きください。代表取締役の吉川大我様にもお話を伺っています。

訪問看護ステーション開業の動機を教えて下さい。

元々、デイサービスを運営していたため、そこに係わりのある新たなサービスを始めたいと考えていました。その候補として有力だったのが訪問看護ステーションでした。

デイサービスを運営する中で、医療介護が「病院・施設から在宅へ」という流れが強まっていることはハッキリと感じていました。その中でも訪問看護ステーションは需要があるにも係わらず、当時は拠点数が少なかったので興味を持っていました。
特に、デイサービスはその施設・設備の規模によって利用者の数がある程度決まってしまうのに対して、訪問看護ステーションの場合、スタッフが対応できる限り利用者数に天井がない、という事実は、これまでの本業とは違った展開が期待できるように感じました。

訪問看護の主要な営業先であるケアマネージャーとは、デイサービスの事業でも関係が築けていたため、開業当初から利用者を獲得できると考えていましたが、私たちの場合、その見込みは外れてしまいました。

現在までの経緯について教えて下さい。

先に述べたとおり、デイサービス事業で既にお付き合いのあるケアマネージャーから、すぐにでも利用者を紹介してもらえるのでは、という期待を持って、平成25年1月に訪問看護ステーション開設したのですが、期待通りにはいきませんでした。
少数ながら訪問看護を提供している事業所がある中で、いくらデイサービスでのお付き合いがあるといっても訪問看護の実績がない事業所には簡単に仕事をくれませんでした。
しかし、こうした課題が早めに見えてきたのはやはり、デイサービスという基盤があったためだと思います。

現在のスタッフの比率では、かなり療法士(リハビリスタッフ)の比率が高いのですが、開業当初から療法士がメンバーにいて、特にST(言語聴覚士)が所属していたのは特徴となったと思います。

採用は、もちろんステーションの成長に欠かせないのですが、経営側の視点では利益率との戦いで楽な話ではありませんでした。
利益率が上がってきたら採用してスタッフを増やすのですが、そうすると人件費や訪問車両を含む設備投資で利益率が悪化します。そして利益率がまた上がってくると採用してまた悪化してを繰り返しながら、徐々に売上と利益の総額を高めてきて、ようやく半年前くらいから安定しているという実感が持てるようになりました。
スタッフからも「せっかく数値が伸びてきたのに、また採用するの?」といった反応がありましたね。

私(内山様)の役割も開業当初とは変化していて、当初は事務長としてオフィスに詰めていることが多かったのですが、事務担当を増やして1年程前からは営業のために外を飛び回ることが多くなりました。

写真:ケアーズ川崎多摩 入口
ステーションの現状について教えて下さい。

今年(平成28年)4月の段階で、看護師が5名、療法士が全部で15名の体制となっています。療法士の内訳はPT(理学療法士)が7名、OT(作業療法士)が5名、ST(言語聴覚士)が3名となっています。さらに、内定を出している療法士が3名います。
この他に事務担当者が2名おり、また社内にはケアマネージャーが2名いて、訪問看護ステーションのオフィスの2階で居宅介護支援事業所を開設しています。

月間の訪問件数は1500件を越えました。1500件を越えることが、訪問看護事業の中で1つの大きな山だと思います。

インキュベクスの支援の感想をお伝え下さい。

元々、デイサービスを運営していたとは言え、訪問看護に関しては経験や知識がなく、その点でインキュベクスを頼りにしていました。インキュベクスには他の支援先の事例も集まるため、1社単独では気づかないことにも注意喚起や対応方法がわかって役立ちました。

実は当社のエリア外から問い合わせがあるケースや、利用者が転居などによってエリア外に出てしまうケースもあるため、他のケアーズの訪問看護ステーションとももっと連携していきたいという想いもあります。
インキュベクスには今後これまで以上に、ケアーズのパートナーステーションの情報提供や、ステーション同士の交流の場を整備していってもらいたいです。

採用に関する工夫や実践内容について教えて下さい。

実は療法士の採用に関して言えば、半数以上が所内のスタッフからの紹介です。紹介制度を導入しており、常勤スタッフの場合、入社後半年間の在籍で紹介者に紹介料を支給しています。
タイミングは読みにくいですが、質の高いスタッフが採用できています。

また、ある意味当たり前の話になりますが、「いかにスタッフが長く勤められる環境を作るか」ということが、採用の重要なポイントにもなります。辞めないことで徐々にスタッフが増え、ステーションが強化されていきます。
反対にスタッフがすぐ辞めてしまうと、募集、面接、採用、教育などを再度やり直すことになるので、コストも時間もかかってしまいます。
私たちのメンバーでは人間関係のトラブルを含む、仕事や会社が嫌で辞めたスタッフは皆無で、スタッフの人間関係はとても良好です。

スタッフが長く勤められる環境を作るために、私たちのステーションでは定期的に私(内山様)が、事務担当を含む全職員と面談をします。
全職員と面談すると2週間くらいかかってしまいますがこれはとても重要で、出てきた提案や要求には可能な限り応えることでより良い環境を目指しています。スタッフは全員「長く働きたい」と思っているからこそ、要望が出てくるわけですし、それに対して会社も真剣に応える必要があると考えています。
例えば、以前の職場で嫌だったところ、良かったところなどもヒアリングしており、そこで出てきた内容には、移動手段への不満や、PC台数が足りなかった、車通勤ができなかったといったことがあり、これらを解決することでスタッフの満足度を高めています。

病院から訪問看護に転職を考えるスタッフの動機は、「給料がいい」「一人で仕事ができる」といったことが多いのですが、こうした内容では差別化が図れません。だからこそ、私たちは働く環境で差別化を目指しています。

面接時に重視するポイントは、経験・スキルよりも人間性です。私たちのステーションでは管理者以外、訪問看護経験者はゼロです。

写真:ステーションオフィス内
スタッフ同士の状況や管理方法などについて教えてください。

スタッフの構成は、看護師はベテランの女性が多いのに対して、療法士は比較的年齢が若い人や男性の比率が多くなっています。看護師から見た療法士が、まるで息子のような感じになることもあってか、スタッフ間の人間関係はトラブルもなく、とても良好だと思います。

最初の頃は療法士の管理も看護師の管理者が行っていましたが、最近になってリハビリの部門に療法士の責任者を立てました。責任者となった方はこれまでにも管理職の経験がある「名実ともに彼しかいない」という人物です。
これでさらに組織が強くなるとは思うのですが、それでもリハビリ部門はスタッフ数が多くもう少し増えた段階で彼だけでは大変になると考えています、その時にはさらに2人ほど補佐をつける予定です。

こうした部門の責任者(管理者)は、管理の仕事が増え、その分訪問件数を増やすことが難しくなるので、仕事量や手当についてはそれぞれの業務の特性を踏まえて配慮しています。

手当については、当社はスキルの獲得やミーティングの開催についても手当を支給して、参加や学習がしやすい環境を目指しています。

まず、スキル獲得のために外部研修参加について手当てを支給しています。外部研修に参加したスタッフは、そこで得たスキルや情報を社内にフィードバックするというルールにしています。

外部研修で得たスキルのフィードバックの場となっているのがスタッフ同士での勉強会です。勉強会は原則、業務時間外に開催しており、その参加にも手当てを支給しています。外部講習参加者や、持ち回りの担当が講師役を務めてスタッフが自主的にスキルアップしています。

訪問看護ステーションの情報を共有するためのミーティングも時間外に開催しており、こちらも手当を出しています。このミーティングでは主に運営に関する情報共有を行っていて、ステーションの財務状況や業務状況などの数値を、かなり細かくハッキリと伝え、全スタッフに共有しています。ミーティングの後には自由参加の食事会を開催しており、親睦を深めています。
ミーティングには、ステーションのスタッフのものの他に、デイやケアマネの責任者も参加する幹部のミーティングもあり、社内全体の情報共有を行っています。

このように、スキルアップ情報共有の機会など業務時間外に行う活動については会社から手当を支給しています。それ以外にも、自動車でなくスクーターで訪問するスタッフへの「バイク手当」など、常に「自分がその当人だったらどうだろう?」という目線で、スタッフが気持ちよく進んで取り組めるような制度を充実させています。

写真:社用バイク
本業との相互作用があれば教えて下さい。

元々運営していたデイサービスで培ったケアマネージャーとの関係性で、開設当初から利用者を獲得するつもりが想定通りに進まなかったことはお話しした通りです。
また、デイサービスの利用者が訪問看護の利用を行うケースもあるのではと思っていましたが、家族支援のレスパイトケアや、自立支援のために夜間ケアを利用する利用者が多い中で、訪問看護を利用する層とは異なっていたせいか、そういったケースはあまりありませんでした。
一方、訪問看護の利用者が、状態が良くなったためにデイサービスの利用に切り替わることは多くあり、そこは相乗効果があると言えます。

その他にも訪問予定がキャンセルとなった療法士がその時間、デイサービスでリハビリを行うことで「療法士がいるデイサービス」として評判になっています。また、訪問看護ステーションの営業強化の一環として、療法士を講師に立てて開催している地域のケアマネージャー向け勉強会にデイサービスのスタッフも参加することで、スキルの向上やケアマネージャーとのコミュニケーションを深めることに役立っています。

会社全体で訪問看護ステーションとデイサービスの意識の統一と交流をさらに深めていくため、名刺や制服のデザインを統一するなどの工夫や、合同のイベント開催なども行っています。

今後の目標、抱負について教えて下さい。

スタッフ数が今のオフィスで活動できる限界に達したら、サテライトを開設したいと思っています。
オフィスの四方の壁の一方向には、大きめのホワイトボードを3面掲げて訪問スケジュールの管理をしているのですが、このホワイトボードが全部埋まってしまったら、オフィスも限界というところですね。たぶんそろそろだと思います。

ケアーズ川崎多摩 スタッフ集合写真
その他、ステーションの特色や事業運営についてお伝え下さい。

私達ケアーズ訪問看護リハビリステーション川崎多摩では、細かい訪問サービスの方針決定はそれぞれの部門の管理者に任せています。幹部は訪問看護については素人だったので、訪問看護経験15年以上の管理者を中心としてボトムアップの意思決定に自然とまとまりました。任せている部分についてはあまり細かい口出しをしないようにしています。

例えば自動車を購入する判断など、大きな方針は幹部が決めますが、それも社長や幹部だけで決めることはせず、必ずスタッフの意見を聞いてから決めるようにしています。

私達のステーションでは、地域に根ざした訪問看護ステーションを目指して、ブランディングを重視した取り組みを行っています。
地域からの評判やあたたかい言葉などは、もちろん営業上のメリットにもなりますが、それ以上に私達スタッフ全員にとってのモチベーションにもなります。
利用者の方が亡くなられた後などに、そのご家族から「本当にありがとう」と感謝の言葉をいただくと「訪問看護をやっていて良かった」と思います。看取りや介護の問題は、家族や親戚の中でもナーバスな問題なので、こうした部分でも「遠くの親戚よりも近くの看護師」と思っていただけるような、頼りにされる訪問看護を目指さなければと思います。

リハビリテーションについても、PT、OT、STの3職種すべてで全曜日の対応が可能となっており、常に充実したサービスを提供できる体制を整えています。

リハビリや訪問看護だけでなく、営業にももちろん力を入れています。
訪問の現場担当が良いサービスを提供するだけではなく、どういった良いサービスが提供できるのかを知ってもらう必要があるので、営業はとても重要です。営業を強化することで現場担当には訪問に集中してもらうという役割分担の意味でも営業は強化すべきで、私(内山様)が事務から営業メインに移ったのもそうした理由です。

営業も訪問と同様に、相手のことを考えた丁寧な対応が効果的です。特に開業当初の余裕がある時期には、郵送やFAXで簡単に済むような書類でもあえて直接持っていく丁寧な対応を、ぜひ実践してみてください。


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